【インタビュー】探究おじさんとして、高校生の挑戦を応援し続けたい。

【インタビュー】探究おじさんとして、高校生の挑戦を応援し続けたい。
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教壇には立たないけれど、教育の現場を支えている人たちがいます。

仕事への想い、飛び込んだきっかけ、大切にしていること。このシリーズでは、そんな一人ひとりの言葉を、記事にしてお届けします。

学校と地域をつなぐ仕事「高校魅力化コーディネーター」を知っていますか?学校を拠点に地域全体を学びの場に変える、プロデューサーのような役割です。

外部の人材や資源を繋ぎ、教員とは異なる視点から生徒が社会と触れ合う授業を企画します。聞きなれない方が多いかもしれませんが、文部科学省の後押しもあり、採用する自治体や学校が増えているんです。

今回は、高校魅力化コーディネーター歴8年の伊藤博暁さんにお話を聞いてきました。

地域で学び、生きる力を身に付ける。生徒に寄り添うのが私の仕事。

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Q:現在はどんなお仕事をされていますか?

昨年度から、岡山県立矢掛(やかげ)高校で働いています。

主な仕事は、矢掛高校独自のカリキュラム「やかげ学」を、より良いものにしていくこと。そして、生徒たちの探究活動に伴走することです。

やかげ学は、生徒たちが地域に飛び出し、それをきっかけに自分の進路や将来について考えていく授業です。そのなかで、社会で生きる力を身に付けることを目指しています。

2009年度に始まったやかげ学には15年の歴史があり、すでに土台は用意されています。あとは、時代の変化に合わせて、生徒たちがいかに活用できるようにするか。

やかげ学のあるべき姿を先生方や生徒、地域の方々と再定義しながら、より良いかたちを追求していきたいと思っています。

また矢掛高校では、探究活動について発表する機会をたくさん設けています。探究活動は、生徒が立てた問いに対して、情報を集めたり分析したりしながら学習を進めていきます。

そのなかで、生徒たちが自分の考えを言葉にするためのサポートが私の役目です。報告書を変えてみたり、振り返りのやり方を工夫したりしながら、より良い伴走のかたちを模索しているところです。

小さな違和感をきっかけに、教育の世界へ。高校生と一緒に、持続可能な地域づくりをしたい。

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Q:教育の世界に飛び込んだきっかけを教えてください。

地方で感じた違和感がきっかけでした。教育に関わる前は観光の仕事をしていたので、地方に行くことが多かったんです。

そして、少子高齢化が進む地域を訪れるたびに、地元の方々が決まって「担い手がいない」と話していました。でもよくよく調べてみると、地元に残っても仕事がないから外に出ていくように、大人たちが促していることが分かったんです。

私はここに、大きな矛盾を感じました。そんな状況では、若者がいなくなるのも無理はないですよね。でもこの問題が解決できれば、地域の状況を変えられるのではないかと思ったんです。

そんなことを考えていたとき、高校魅力化コーディネーターという仕事を知りました。地元の高校生と一緒に、伝統や文化を受け継ぎながら地域づくりをしていきたい。そんな思いから、教育の世界で働き始めることを決めたのがきっかけです。

Q:教育の仕事を始めて苦労したことはありますか?

私の場合、はじめから教育の仕事に関心があったわけではないので、現場の方々とのすれ違いに苦労しました。考え方や見ているところが違うので、話がなかなか噛み合わなかったんです。

私のなかで大きな転機となったのは、この仕事を始めて2年目のときに地域と教育を繋げるコーディネーターの講習を受けたことです。この講習では、教育魅力化コーディネーターの育成に特化した内容を学びます。

これによって私の視点も変わり、先生方に近い考え方を持てるようになりました。それをきっかけに、キャリア学習やサードプレイス作りなどにも取り組むようになり、高校魅力化コーディネーターとしての役割も一気に広がったと思います。

生徒たちの変化が、いちばんの喜び。探究おじさんとして、これからも走り続けたい。

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Q:これまでの8年間で印象に残っている出来事はありますか?

やはり生徒たちの成長が印象的ですね。数年前に、会話の苦手な生徒がいたんです。コミュニケーションを取ろうにも「はい」か「いいえ」か、あとは挨拶しかできませんでした。

でも接しているうちに、絵が得意なことが分かったんです。紙とペンさえあれば、自分の気持ちを表現できる。それが分かってから、絵に描いてもらうようにしたんです。

そうしているうちに関係性が築けてきて、1年後には地域のイベントを手伝ってくれるようになりました。少しずつ世間話もできるようになって、地域の方々からも表情が変わったと言ってもらえたんです。

そんな言葉を聞いたとき、自分のことのように嬉しかったですね。生徒たちのこうした変化を近くで見守れるのが、この仕事の醍醐味だと思います。

Q:今後はどんなことに挑戦していきたいですか?

探究活動に対する「難しそう」というイメージを崩していきたいです。

「探究おじさん」という肩書きで数年前から動き始めたのですが、そこで気付いたのが、探究活動に関わる大人たちが難しそうなイメージを持っていることです。そんな人が圧倒的に多いことに驚きました。

たしかに、教科指導と違い明確なゴールがないので、そう感じてしまうのかもしれません。でも私は、もっとシンプルに捉えていいと思っています。

なぜ難しく感じているのかということを一緒に言語化しながら、そのハードルを下げる挑戦をしていきたいです。

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